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第4回 抗ペプチド抗体作製(免疫篇 Part 2)

前回は、 2回免疫後の試採血血清までのELISA結果をお知らせいたしましたが、今回はその後の進行状況をお話しいたします。あれから、3回目、4回目と免疫を行 い、その都度(免疫後7日目)の血清についてELISAを行いました。どうやら、抗体価は順調に上がってきているようです。
3回目免疫 (8/1 , Wed)

免疫方法は1回目、2回目と同じように実施しました。前号を読まなくていいようにコピー&ペーストしておきます。
抗原は前々回に作製したKLH-Peptideで、 それらをFreund's Complete Adjuvantと等量混合し、エマルジョンを作製します。これを、ウサギ背皮内数十ヶ所に投与していきます。毎回、この様な方法で抗原を投与していきま すが、2回目以降はFreund's Incomplete Adjuvantを用います。

3回目試採血 (8/8 , Wed)
この頃から、抗体価が安定してくるはずです。でも、免疫動物が体調を崩したりした場合、抗体価も下がってきてしまうので、動物の体調管理には気をつけねばなりません。

・体調を崩した場合、どうすれば……
免疫動物が体調を崩した場合、TKCでは出来るだけ栄養価の高い餌を与え、免疫や採血などは行わないようにしておきます。後は、祈るだけ……(^^;)。 でも、昨年開設してから、今までに数百匹の動物を免疫してきましたが、免疫途中で死亡するような動物は0〜1%程度となっています。ただし、抗原に毒性が あるような場合は死亡率は高くなるのではないでしょうか?


4回目免疫 (8/15 , Wed)
通常、TKCの免疫方法で行った場合、4回目くらいでプラトーになる場合が多いようです。もちろん、裏技的にもっと上げることも可能ですが、ウェスタンブロット等に使用するには、丁度良い頃でしょうか。
4回目試採血 (8/22 , Wed)
通常のベーシックプランでは、この時点での試採血が最初の試採血になります。これまで、経時的変化を見るために試採血を行ってきましたが、いよいよ、決断の時がやってきました。

ELISA
今回のELISAは、2回目試採血時の血清ををコントロールとして行ってます。2回目以降どの位の抗体価の上昇があったのでしょうか?
・ELISAって?
ELISAとはEnzyme-Linked ImmunoSorbent Assayの略で、抗体価を決める際に良く用いられる手法です。方法として96ウェルプレートに抗原を結合し、その抗原に抗血清、標識抗体、基質の順で反 応させ、どの位、抗血清の中に抗原に結合する抗体が有るのかを調べます。発色が強いほど抗原と反応する抗体が多いと言うことになります(正確には抗体の数 だけに比例するわけでは有りません)。
上図はペプチド-1の抗血清。下図はペプチド-2の抗血清のグラフです。縦軸は492nmの吸光度、横軸は抗血清の希釈倍率で1,000倍から倍々希釈に なっています。今回のELISAグラフから、ペプチド-1の抗原については抗体価がほぼプラトーに達しているのがわかります。また、ペプチド-2の抗原も ほぼプラトーでしょうか。
・もっと、抗体価を上げたいときは?
これまで、100μgのKLH-ペプチドを1回抗原量として免疫を行ってきました。もし、これ以上の抗体価が欲しい場合の手段として、第一には抗原量を倍 にするという手段が考えられます。または、免疫部位や免疫方法を変えて実施すると言うことも考えられます。“どの位の抗体価が欲しいのか”これによって変 わってきますが、一般的には上のグラフくらいまで抗体価が上がっていれば、大抵の実験には使用可能です。
全採血(8/23 , Thu)
今回は時間もあまり余裕がないので、全採血を行うことにしました。免疫動物に感謝しながら、そして1滴でも血液を無駄にしないように、実施します。その後の血清分離は、試採血時と同様に室温で数時間放置した後、4℃、一晩静置します。翌日、遠心し血清を分離します。

・全採血血清はどのくらい得られたのか?
今回の、全採血血清量は次のようになりました。

ペプチド-1 75mL
ペプチド-2 70mL

このまま、冷蔵庫に入れて置いても抗体が分解されていってしまうので、防腐剤を添加し保存しておきます。この状態なら、数年は抗体価の減少はおきません。もっと、長期の保存をしたい場合は-80℃での凍結保存をお勧めいたします。

ここまでで、免疫篇は終了です。次回からは、得られた抗血清を用いての精製、実験編を予定しております。精製は、塩析、Protein Aを用いて実施するつもりです。もちろん、精製課程の状況についても報告していきますので、次回以降もご期待下さい。